3回目となる通う道。空を見上げれば焼けつくような日差しと重い雲模様が入れ代わり立ち代わり。まるで自分の心模様を正直に映し出しているかのよう。
 初回受診から4週間が経ち、休職診断の最終日であり、3度目のメンタルクリニック受診日を迎えた。

 どうだろうか。
 気持ちのキャパオーバーとなった仕事から1ヶ月離れ、心身の休息は十分に取れた。何度か書いているが、就業時以外でのメンタルまで折れてしまう前の避難だったため、「ダメになってしまったことが出来るまで復調したよ」的なことが無いので、実感するほど復活感までは無いものの、充電されたような気は薄っすらしている。ここは気持ち的に晴れている部分。
 とはいえ、元の状況に戻った時どうなるかは、戻ってみないと分からないため、不安材料であることはやむを得ない。ここは気持ち的に曇っている部分。

 悲喜交々とまでは言わないものの、ひとつではない色がグラデーションのようになっている胸の内を抱え、クリニックに到着。いつも通り、受診前のテスト的なものを実施。スラスラと記入を進める。
 自分の前が終わっていたのか、予定よりも早い時間で声がかかる。先生を前にし、前回診察から2週間経ての今の心境を言葉にする。
 初診時に悩まされていた頭や肩の重みはほとんど無くなったこと、気持ちの面もだいぶ軽く感じていること。それらをシンプルに伝える。
 先生は受診前の診断テストが「前回はアウトだったが、正常の域に戻ってきている」と教えてくれた。意識的にストレスフリーに過ごしてきた甲斐があったというものだ。
 復職診断書が出た。

 帰り道。もはや雲はかけらもなく、真上から太陽が容赦なく灼熱の日差しを向けてくる。まぁ、そう焦ってくれるな。そんなに燃やしたらすぐにバテてしまう。ワタシはコンビニで買った水で喉と身体に潤いを流し込む。
 途中、診断結果を伝えるべく上司に連絡を入れるが、会議中か留守電となる。改める旨を吹き込み、家への歩みを進める。腹が減った。朝食のバナナ1本分のエネルギーはとっくに使い果たしていた。

 本日の昼食が自宅から徒歩1分のマックのテイクアウトに決まり、帰宅後すぐ再び家を出たところで、上司からの折り返し着信。
 なんてこったい。ちょうどiPhoneから「PayPay」という声がして、モバイルオーダーが完了した瞬間というジャストタイミング。
 ワタシの着信を見た上司は会議が終わり、電話をする時間を作ってくれたようだ。ありがたいのと同時にとても申し訳ない。マックとのダブルブッキング。通話しながらでは上司に失礼だし、何より通話に使うのはモバイルオーダーに使ったiPhoneなのだ。それでは受け取れない。
 「昼ごはんを買いに出たところで、今まさにオーダーしてしまったところなんです」と動揺で多少ギクシャクした説明をし、食後に電話を改めることになった。ありがとうございます。おかげ様でポテトもふにゃふにゃになることなく、美味しくいただけました。

 食後。仕切り直しての電話。本日の受診内容、復職診断書が出たことを伝える。このあとの流れとしては産業医との面談がある。まずは、その日程の決定を待つということとなった。つまり、翌日からすぐに復帰ということではないようだ。
 主治医の診断、自分的には復帰OKという状況になったわけだが、会社側としても症状が再発しないように復帰するにもいろいろ検討とのこと。休ませてくれたときも思ったが、こういったところがありがたいと感じる。

 正直、部署に自分しかない役職に1ヶ月穴を空けているということに申し訳なさや後ろめたさが無いということはない。ここが全く沸かないようなハートであれば、そもそも適応障害になどなっていないのだろうが。
 とは言いつつ、ワタシはストレスを感じやすい気質なのだから、勝手に背負わされていないものまで背負って気を揉んでいるようでは、また同じことを繰り返すだろう。
 せっかく自分とも向き合った1ヶ月。そこだけのものになっては勿体無いというものだ。ダテにメンタル対策での日光浴で小麦色の肌を手に入れたわけじゃない。ひと皮剥けるときなのだ。実際の肌は剥けるとビジュアルを損なうので、保湿とビタミン摂取は忘れずに。

 今回のことをこれからに活かせるように、強さとか硬さではなく、ポンコツと感じるところを含めて在るがままの自分にいい意味で降参し、受け入れ、そのうえでしなやかさを板につけていきたい。
 自分と同じように悩ましくある人、そこまで行く前でしんどくなっている人の前例になろう。そして、大丈夫と言えるようになろう。鋼のメンタルでもなく、うつになるまで粘りきらなかった自分だからこそ、共感できること伝えられることがあって、それが届く人がいるはずだ。