ワタシは生きている。これを読んでいるあなたももちろん生きていることだろう。それはシンプルな事実であって、ああだこうだということはない。ただ、そこに『意味』とかを意識し始めると途端に複雑、難問になったりするから厄介だ。
 「ただ吸って吐いているだけで十分ならば」誰も苦しまないのだろう。人間はつくづく面倒臭いと思う。他の生物みたいにシンプルにただ生きられないのだ。

 前日より風と日差しが優しい日曜日。ワタシは2日連続で大濠の某公園へストリートお悩みリスニングにやってきた。超億劫なリスタートの1歩も踏み出してしまえば、2歩目は結構余裕だったりするものだ。何か途切れた習慣を再開したいけど、面倒臭すぎてできないって人は、モチベも何も無くていいから、とりあえず踏み出してしまうことをオススメする。口車に乗ったリスタートの1歩はワタシのことを恨むだろうが、2歩目は感謝するはずだ。きっと。たぶん。まぁ責任は取らないんだけど。

 この日は、ちょうど出発したタイミングが国際マラソンと被っていたようで、家を出てすぐに道路の封鎖とぶつかって足止め。めちゃくちゃ迂回し、なんとか道路を横断したのも束の間、また封鎖にぶち当たる。公園に着くまでに4回ほど迂回を余儀なくされ、ただでさえ30分かかるサイクリングが、いつも以上に時間と労力を費やすこととなり、到着した時にはすでにヘロヘロ。気を取り直し、チェアを広げ、音楽を再生し、本を開く。

 しばらくして、声をかけられた気がして音楽を止めて顔を上げる。以前お悩みリスニングで知り合った方がご友人と顔を出しに来てくれた。どうやらインスタにリスニング開始を上げたのを見て、予定の途中で立ち寄ってくれたとのこと。こういうのもリアルでの活動の醍醐味というヤツなのだろう。数ヶ月ぶりの再会に互いの近況を伝えあったりする。

 本に飽きたワタシは前日の活動をブログにすべく執筆活動に鞍替え。8割ほど書いたところで、また声がかかった気がして顔を上げる。これまた、半年ほど前にリスニングでお会いした方が両手にコーヒーを持って立っている。この方もインスタを見て足を運んでくれたとのこと。
 というわけで、2日連続のこの日はこの方がそのままリピーターとしてトーカーになってくれた。いただいたコーヒーを時折口にしながらのリスニングがスタート。

 この日のテーマのひとつが『生きる意味』。なんでも家と職場を行き来する際、ふと思いを馳せることがあるそうだ。
 確かにこれは人生の大テーマである。かくいうワタシも、今年はその難題にひと夏かけて向き合ったりしたので、重大かつ身近なテーマというわけだ。

 『生きる意味』。人の数だけ答えがあるなんてというものでも無いと思っている。そもそもそんなことを考えない人もいるだろうし、考えたとしても答えを導けないでいる人もだろうから。
 そして、自分なりの答えを持っているから良いというものでも無い気がする。それが活力となって背中を押してくれているなら良いが、あるばかりにそれが重荷となって息苦しくなることだってあるだろう。

 『生きる意味』なんて考えてしまうのは、今の所人間だけなのだろう。他の生物は生きるために生きている。シンプルだ。人間はそこに「どのように」的な幅を増やしてしまったばっかりに拗らせたりする。
 「幸せのために生きているだけさ」と言いたいが、そもそも幸福感などの気持ちの良い感情は、生きるために脳が感じさせているもの。幸せとは逆の不快な感情も、生きるためのリスクを避けるため脳が出している信号。しかし、人間は幸せが感じられなかったり、不幸で苦しすぎたりすると、生きることが苦しくて嫌になってしまったりもする。生きるための信号で生きることが嫌になったり虚しくなったりなんて、生物としては本末転倒。進化なんだか退化なんだか。

 そこまで大きなものでなくても、なんとなく満たされない感じとか意味を見出せないでマイルドにしんどいことも多い気がする。

 今のワタシは、『生きる意味』は決まったものなんて無くて、自分ででっち上げるもなんだと思っている。神様みたいなのが都合よく作ってくれていて、それを見つけられたら良いんだろうけど、それは特別なメッセージを受信できる選ばれた人間以外には難問なので、意味が欲しいなら仕方なく自分で創るしかないって感じ。
 ただ吸って吐いて生きるだけなら、意味は必要ないし、考えなくていい。しかし、厄介なことに人間に生まれてきてしまい、他の生物より生きるのが安全なのに、それだけじゃ満足できず謳歌したいと思うなら『自分なりの意味』を創る。逆に言えば、創ってしまえばいいのだ。正解なんて誰も持ってないんだから、自分の創ったものがもう正解。

 来世がどうとか、転生するかとか分からないけど、どうせいつかは終わるし、終わったらゼロになると考えれば、結構気楽になれてしまわないだろうか。とりあえず、ワタシは着たい服を着て、気に入った音楽を聴いて、行けるところまで行ければ良い、と今は考えている。あなたはどうだい?